電子カルテの弱点と対策

業務の迅速化が重要な医療現場にとって、電子カルテの導入は有効だと言えます。
従来の紙媒体では大量のデータの中から該当患者のカルテを探し出すのは大変な作業でしたが、電子カルテなら、パソコンに該当患者の名前や診察番号を入力するだけで瞬時に検索可能です。院内LANの構築によって複数の端末で情報を共有し、医師からの指示を看護師が速やかに把握することもできます。
しかし、電子カルテを導入した医療機関は電子機器のトラブルによって、電子カルテが使用不能になることも珍しくありません。

いったんシステムがダウンすると、検査を外部へ発注したり、診療することができなくなってしまいます。
こうしたトラブルの原因は、単にACアダプターが外れていただけだったり、ハブに繋いだUSB接続のLANアダプターに問題が生じていたりと、大抵の場合は復旧にさほど時間がかかりません。それでもトラブルが起きれば現場のスタッフでは手に負えないことが多く、毎回サポート業者を呼ぶことになります。
医療とは無関係のトラブルで診察が停滞すると医療従事者はストレスを感じることから、電子カルテ導入を渋る医療機関もあるのが現状です。現に、IT技術が医療業界に導入されてからも、電子カルテを導入した医療機関は全体の半分程度に留まっています。

しかし、電子カルテのメリットは、紙媒体とは比較にならないほど大きいと言えます。バックアップや予備電源といった体制の確保や、予めシステムダウンに対応できる医療事務の育成などによってトラブルを最小限に止めれば、電子カルテの普及率は上がるでしょう。